ブルックリンの1軒から始まったダイカーハイツのイルミネーション
ダイカーハイツのイルミネーションは、誰かが計画したものではありません。ツアーの説明によると、始めたのは84丁目に住むLucy Spataさんで、1980年代のことです。その後、周りの通りが少しずつ後に続きました。ここでは推測を交えずに語れる範囲でその歴史をたどり、マンハッタン発のバスツアーの立ち寄り先になるまでの流れを紹介します。
84丁目の1軒の家
散策中にガイドに「誰が始めたの?」と聞けば、返ってくる名前はひとつです。ツアーの説明が名前を挙げるのはLucy Spataさん。84丁目にある彼女の家は1980年代、ありきたりのリースや電球の飾りをはるかに超える光で輝き始めました。
その飾りは毎年12月になるたびに大きくなっていったそうです。芝生には人形が並び、家の縁という縁に電飾が付けられました。やがてブルックリンの他の地区からも、車で見物に来る人が現れます。
そこから先の細かい話ははっきりしません。伝説を繰り返すより、言えることだけにとどめておきます。確かなのは、1軒の家が基準をつくり、通りがそれに気づいたということです。
2つの地区に挟まれた静かな住宅街
ダイカーハイツはブルックリンの南西部にあり、西にBay Ridge、東にBensonhurstが広がります。1年の大半は落ち着いた住宅街で、ニューヨークを訪れる旅行者のほとんどが目にすることのない場所です。
通りには一戸建てが並び、その多くが前庭や車寄せの奥に建っています。これはブルックリンでは珍しい造りです。この余裕が大事で、芝生があれば玄関のドアより背の高いくるみ割り人形を置く場所ができます。
この地区にはイタリア系アメリカ人の大きなコミュニティがあり、クリスマスは昔から家族の大切な行事です。家を飾る習慣は、見物の名所と考えられるようになる前から、この土地柄によくなじんでいました。
1軒の飾りが和やかな競争になるまで
1軒がほかより明るく輝くと、近所も負けじと応え始めました。ある家がおもちゃの兵隊を並べれば、隣は屋根にサンタクロースを載せる。年を重ねるうちに、通り全体のレベルが上がっていきました。
地元の人もガイドも、これをライバル争いではなく和やかな競争として語ることが多いようです。賞があるわけではなく、ご褒美は自分の家の門の前で足を止める人だかりなのでしょう。
やがてその輪は地区の中心にある数ブロックに広がりました。どのブロックをどの順で歩けばよいかは、いちばん明るいブロックを通りごとに紹介するガイドをご覧ください。

プロの業者と高額な電気代
いちばん大きな家々の飾り付けは、もはや週末にはしごを持ち出してやる作業ではありません。プロの装飾業者に頼む家もあるそうで、業者はサンクスギビング前の数週間に人形やケーブルを積んだトラックでやって来ます。
電球はすべて、その家のメーターで電気を使っています。電気代を市の予算やスポンサーが負担することはなく、住民たちはこれまで何度も、この時期の電気代が普段の冬の月をはるかに上回ると語ってきました。
募金箱や慈善団体の案内を出している家もあります。寄付するかどうかはまったくの自由です。家の前の歩道でのふるまい方は、近所の迷惑にならない見物の仕方のページにまとめています。
見物客が押し寄せるようになったころ
最初は口コミでした。その後、新聞やテレビが取り上げます。それから数十年のうちに、イルミネーションは地元の人が車で通りがかりに眺めるものから、海外からの旅行者がニューヨークの行きたい場所リストに入れるものへと変わりました。
人が集まるところにツアー会社も続きました。大型バスは狭い脇道に入れないため、イルミネーションを目当てに生まれたバスツアーはどれも近くに停車し、グループを歩いてブロックへ案内します。
その形は、当サイトで紹介するどのツアーにも今も共通しています。ダイカーハイツのイルミネーションツアーの料金ガイドでは、バスの座席とグループ貸切のリムジンを比べています。リムジンなら大型バスの代わりに、ホテルの玄関まで車が迎えに来ます。
始まりの通りで、その物語を聞く
Scatto a New YorkのガイドがLucy Spataさんの家の前を通りながら歴史を語ってくれます。徒歩は約1時間、帰り道には夜景スポットにも立ち寄ります。
主催者も、チケットも、スケジュールもない
このイベントを運営している人が誰もいないと知って、驚く人は少なくありません。日程を決める委員会も、入場券を売る窓口もありません。家々は個人の住宅で、持ち主が自分の意思で飾っているだけです。
だから点灯の始まりは年によって少しずつずれ、ある家が暗いまま隣の家は明るい、ということも起こります。多くの家庭はサンクスギビングのころに点灯し、1月の初めまで続けます。
日程と時間帯については、いちばん空いている平日の夜まで含めて専用のガイドで扱っています。歴史の話としては、どの飾りも一軒一軒の家庭の厚意で成り立っている、と覚えておいてください。
ツアー代金は移動とガイドの料金で、イルミネーションの代金ではありません。住民はツアー会社から何も受け取っていません。声を抑え、芝生に入らないようにする理由がここにもあります。
住民の複雑な思い
注目を歓迎している住民ばかりではありません。大通りには大型バスがアイドリングしたまま停まり、駐車スペースは消えてしまいます。混み合う土曜日には、夜遅くまで歩道が人で埋まります。
一方で、玄関ポーチから見物客とおしゃべりし、毎年12月に何か新しい飾りを加える住民もいて、明らかに楽しんでいます。どちらの気持ちももっともで、地元からの話を聞く限り、多くの人は誇らしさと疲れの間のどこかにいるようです。
ガイドと一緒に歴史を見る
地下鉄でダイカーハイツへ行くガイドのとおり、自分たちだけで歩くこともできます。ただ、ガイドがいれば物語が加わります。どの家が早くから飾り始め、どの家が後から加わったのかを教えてくれます。
おすすめのScatto a New Yorkのイルミネーションバス(約63ドルから)は、Lucy Spataさんの家を含むルートで、いちばん明るい2本の通りを歩きます。GetYourGuideでの評価は4.6(2,400件以上のレビュー)で、ダイカーハイツのツアーの中では群を抜いてレビュー数が多いツアーです。
ミッドタウンのショーウィンドウと歴史を同じ夜に楽しむこともでき、2つの区をめぐるルートには専用のページがあります。家族連れの方は、予約の前に子ども連れで見るダイカーハイツのイルミネーションも読んでおいてください。